ライン型UV照射器の積算光量の計算
ライン型UV照射器は線状にUV光が放射されます。照射されたUVライン光の下をベルトコンベアに乗せられた対象物が通過することで、UV樹脂、接着剤が硬化します。
UV樹脂、接着剤にはメーカーから指定された硬化するための積算光量があります。硬化、接着条件の積算光量を満たすことで硬化、接着が実現可能となります。
積算光量とは
照度mW/cm2×照射時間(秒)で算出されます。
右の図で明らかなように1000mW/cm2の照度で1秒間照射する場合の積算光量と、100mW/cm2の照射器で10秒間照射する場合の積算光量は同等となります。
積算光量、積算照度の計算式
UV照度(mW/cm2)×照射時間(秒)=積算光量(mJ/cm2)
上記の式によって積算光量の計算が可能となります。
ただし照射対象物が動かないスポットおよびエリアでの一括照射の場合は上記計算式の当てはめが可能ですが、ライン式の場合は対象物が動いているため事前にコンベアのスピードとUV照射器のライン幅を用いた計算が必要となります。

ライン型UV照射器の積算光量算出に必要な項目
以下の項目がライン型UV照射の積算光量算出のために必要となります。
- ベルトコンベアの動くスピード
- 照射器のライン幅
- 照射器の照度
1. コンベアのスピード
UV光の照射時間の算出にあたって、コンベアのスピードを把握する必要があります。
コンベアのスペック表記が1m/minや80cm/minの場合はcm/s(秒)の表記に直します。
- 例1
2m/min(1分間に2m進む)の場合
(2m/min ÷ 60秒)×100= 3.33cm/s
1秒間に3.33cm進む - 例2
80cm/min(1分間に80cm進む)の場合
(80cm/min ÷ 60秒)= 1.33cm/s
1秒間に1.33cm進む

2. UV照射器のライン幅
UV光のライン幅を把握することにより、対象物へ光が照射される時間の算出が可能となります。
ここではUWAVE社のライン型UV照射器UPINと上記例1を用います。

- UWAVE社UPIN6Wモデルの場合
コンベアスピード: 3.33cm/s
ライン幅:1.7cm(距離: 10mm)
照射時間:1.7cm ÷ 3.33=0.51秒

3. UV照射器の照度を用いて積算照度を計算する
上記1および2で算出した照射時間およびUV照射器の照度を用いて実現可能な積算照度を算出します。
計算式
UV照射器照度 × 照射時間 = 積算照度
- コンベアスピード: 3.33cm/s
ライン幅:1.7cm
照射時間:1.7cm ÷ 3.33=0.51秒
UV照射器照度: 約4000mW/cm2(距離10mm時)
4000mW/cm2 × 0.51=2040mJ/cm2
よって積算照度は2.04J/cm2となります。
まとめ
- コンベアのスピード(cm/s)を把握する。
- UV照射器の照射ライン幅を把握する。
- 照射ライン幅(cm)/コンベアスピード(cm/s)で照射時間を算出する
- UV照射照度(mW/cm2)×照射時間(s)で積算光量を算出