UV硬化型接着剤の特長と用途 (出典:Krylex.com / Chemence)
接着剤は、液体から固体へと構造を変化させるために化学反応を必要とします。硬化後は、2つの被着材を高い強度で接着し、温度や湿度の変化に耐えるだけでなく、多くの化学薬品に対しても優れた耐性を発揮します。
この硬化反応は、光、熱、水分、あるいは2種類の反応性成分を混合することなど、さまざまな方法で開始できます。UV硬化型接着剤には、光硬化開始剤(フォトイニシエーター)が配合されており、適切な波長・光強度の光を照射すると化学反応が始まります。一般的な照射波長は250~400nmです。
UV硬化の仕組みはさまざまな化学系に適用でき、UV硬化型アクリル系、エポキシ系、シリコーン系、シアノアクリレート系など、多くの製品が開発されています。
UV硬化型接着剤のメリットとデメリット
あらゆる硬化方式と同様に、UV硬化にも長所と短所があります。
UV硬化は非常に柔軟性の高いプロセスです。硬化速度はUV光の照射強度に依存するため、高照度では数秒程度で硬化させることができ、照度を下げれば硬化時間を長く設定することも可能です。

UV硬化型接着剤は一般的に一液型であり、混合作業を必要としません。また、多くの製品は低粘度・低溶剤設計となっています。
未硬化状態での保存安定性にも優れ、製品によっては24か月程度の保存が可能です。周囲の光を適切に遮断すれば、取り扱いも容易です。
一部のUV硬化型接着剤には蛍光剤が配合されており、完全に硬化した部分だけが蛍光を発します。この特性により、生産ライン上で接着状態を目視確認でき、接着面全体が確実に封止されているかを容易に検査できます。
硬化後のUV接着剤は無毒であり、幅広い用途に使用されています。例えば、医療用接着剤として針やカテーテルの組み立て、電子部品を保護するコンフォーマルコーティング、電子部品の封止(ポッティング)やカプセル封止(エンキャプシュレーション)などに使用されています。
さらに、UV光が届かない影部(シャドー部)でも硬化できるよう、水分硬化機構を組み合わせた製品もあります。この場合、空気中の水分によって硬化が進行し、UV硬化と水分硬化を組み合わせることで、接着剤内部まで十分に架橋反応が進みます。
このようなデュアルキュア型接着剤は、UV照射後すぐに初期固定が可能であり、その後数日かけて硬化が進むことで、接着強度や耐環境性がさらに向上します。
一方で、UV硬化にはいくつかの制約もあります。
まず、接着剤に含まれる光開始剤が吸収できる波長のUV光を照射できる光源が必要です。すべての接着剤が同じ波長で硬化するわけではありません。
光源としては、水銀ランプ、UV蛍光ランプ、UV LEDなどが使用されますが、これらは他の接着技術にはない追加設備となるため、導入コストが発生します。また、ランプは経年劣化により光出力が徐々に低下し、硬化時間が長くなるため、最終的には交換が必要になります。
また、二次硬化機構を備えていない場合は、接着部全体にUV光が届かなければなりません。光が当たらない部分は硬化しないため、接着設計には十分な配慮が必要です。
さらに、すべての材料がUV硬化に適しているわけではありません。接着剤を硬化させるには、使用する光源の波長を透過する材料である必要があります。また、UV光や可視光が到達できる深さには限界があり、一般的には約10mm程度とされています。
加えて、UV光は人体に有害となる可能性があるため、作業者は適切な保護眼鏡や皮膚保護具を着用する必要があります。
Chemence®では、これらの課題の多くを解決するUV硬化型接着剤を開発しています。
広帯域硬化タイプには、250~400nmの広い波長域にわたってベル型の応答特性を示す光開始剤を採用しています。そのため、中圧水銀アークランプやメタルハライドランプによって最適な硬化性能を得ることができます。
また、365~405nmのUV LED光源専用に最適化されたLED対応製品もラインアップしています。
さらに、酸素阻害による表面のベタつきを防ぐ「タックフリー硬化」タイプも用意しています。これは、大気中の酸素によって接着剤表面が硬化不良となる現象を抑制するものです。
加えて、光照射による初期硬化の後、熱または水分によって完全硬化を行うデュアルキュア型接着剤も開発しています。
Chemence® UV硬化型接着剤について
Chemence®は、接着、仮固定、シーリング、コーティング、封止(エンキャプシュレーション)、ラミネート、ポッティングなど、幅広い用途に対応するUV硬化型接着剤を取り揃えています。
KRYLEX®ブランドのUV硬化型製品には、アクリル系およびシアノアクリレート系接着剤が含まれており、高強度タイプ、タックフリータイプ、デュアルキュアタイプ、高速接着タイプなど、多彩なラインアップを展開しています。
また、Chemence®では、医療機器向けのUV硬化型接着剤も充実しており、KRYLEX®ブランドのもとで、注射針、カテーテル、チューブセットなどの組み立て用途に適した製品を提供しています。