波長可変光源とは?原理・種類・用途・選び方
波長可変光源の種類
波長可変光源には多色LEDを組み合わせるタイプや白色光源をモノクロメーターで分光するタイプがあります。
まず初めに、モノクロメーターを使用した波長可変光源と多色LEDを使用した波長可変光源の違いについて解説します。
| 項目 | 多色LED式 | モノクロメーター式 |
|---|---|---|
| 波長選択 | 限定的 | 連続可変 |
| 半値幅 | 約15-40nm | 約0.5-20nm |
| 光出力 | 高い | 中程度 |
| 波長変更 | 非常に高速 | 数ms-数十ms |
| 用途 | 蛍光励起 | 分光・材料評価 |
モノクロメーター式波長可変光源
モノクロメーターとは内蔵されたグレーティングやプリズムなどで白色光を分光するシステムになります。
モノクロメーター方式の波長可変光源は基本的に白色光源+モノクロメーターで装置が構成されます。
内部のグレーティングを回転させることにより出力する波長を選択し、白色光を単色に「切り出して」出力します。
モノクロメーターの原理について詳しく知りたい方は、「モノクロメーターとは?原理・構造・分光器との違い」をご覧ください。

メリット
- 任意の波長を連続的に選択可能
出力ピーク波長を>1nm刻みで設定できます。 - 半値幅(FWHM)を調整可能
スリット幅を調整することで高分解能(狭帯域)と高光量(広帯域)を選択できます。 - 波長範囲が広い
ハロゲン、キセノン、レーザー励起白色光源などを選択することで幅広い波長範囲に対応できます。
デメリット
- 出力が低い
スリットとグレーティングで分光するため、白色光源のエネルギーの一部しか利用できません。
半値幅を狭くすると光量は低下します。 - 高価になりやすい
高輝度な光源および高性能なモノクロメーターを選択すると高額になります。
向いているアプリケーション
- センサー評価
- 材料評価
- 分光測定
- 光電気化学
- オプトジェネティクス

モノクロメーター式 波長可変光源
多色LED式 波長可変光源
多色LED式の波長可変光源はいくつかのLEDをダイクロイックミラーもしくは同一の基盤に実装し、波長を「合成して」出力します。
各LEDの出力を個別に調整することで単色での出力および複数波長を組み合わせた広帯域波長での出力も可能となります。
ダイクロイックミラーを使用した多色LED式波長可変光源については、「単一波長LED光源とダイクロイックミラーを用いた多波長光源の構築」をご覧ください。

メリット
- 複数ピーク波長を同時出力可能
- 高速な波長切り替え
LEDを制御するため高速で切り替え可能です。 - ピーク波長の出力調整可能
- 高出力を実現
デメリット
- 内蔵したLEDのピーク波長しか選択できない
- 連続的な波長掃引ができない
- LEDごとに半値幅が広い
→一般的に15~40 nm程度 - 深紫外、近赤外では選択肢がすくない
向いているアプリケーション
- 蛍光励起
- オプトジェネティクス
- マシンビジョン
- カラーセンサー評価
- 外観検査
- UV硬化
- バイオ・医療機器

波長可変光源(多色LED式)を選ぶポイント
1. 必要な中心波長
365 nm、385 nm、405 nm、450 nm、525 nm、625 nmなど、使用したい波長に近いLEDを選定します。
任意の波長を自由に設定できるわけではないため、実験や装置で必要な波長が事前に決まっている用途に向いています。
2. 半値幅(FWHM)
LEDの出力光は、特定の中心波長を持ちますが、完全な単色光ではありません。一般的にLEDの半値幅は約15〜40 nm程度です。
半値幅が広いほど光量は得やすくなりますが、波長選択性は低くなります。
3. 光出力
多色LED式では、LEDごとに出力が異なります。特に深紫外域や近赤外域では、可視光域と比べて出力が低くなる傾向があります。
4. LED数
搭載するLEDの数が多いほど、選択できる波長の種類は増えます。
一方で、LED数が増えると光学設計、放熱設計、制御回路が複雑になります。
必要以上に多くの波長を搭載するよりも、用途に必要な波長を絞って選定する方が効率的です。
5. 制御方法
多色LED式では、各LEDのON/OFFや出力強度を個別に制御できることが重要です。
外部制御を行う場合は、USB、RS-232C、Ethernet、TTL、アナログ入力など、既存の装置やソフトウェアと接続できるインターフェースを確認します。
特に自動評価装置や検査装置に組み込む場合は、波長切り替え速度、調光分解能、外部トリガー対応の有無も選定ポイントになります。
多色LED式波長可変光源
波長可変光源(モノクロメーター方式)の選び方
1. 波長範囲=光源の選択
波長可変光源で使用したい波長を決定します。
広帯域光源は使用したい波長帯域全体をカバーする必要があります。
340~2000nmの光を使用したい場合はハロゲン光源、
深紫外の200-400nmを使用する場合は重水素ランプもしくはレーザー励起白色光源などが候補となります。また可視域のみを必要とする場合は白色LED光源も検討に挙がります。モノクロメーターは使用する光源に対応し、効率的に分光できる必要があります。使用したい波長に合った適切なグレーティングを選択することが重要です。


2. 半値幅
波長可変光源で選択した単色ピーク光は常に特定の半値幅(FWHM)を持っています。光は半値幅の範囲の選択した波長が出力されます。半値幅を選択するときは、光出力と半値幅の間で適切な妥協点を見つける必要があります。帯域幅が狭くなり、解像度が高くなるにつれて、光出力も小さくなります。光の半値幅は以下の要素で決定します。
コリメーターの焦点距離: 焦点距離が長くなるほど、半値幅は小さくなります。ただし、一定の直径で焦点距離が長いと、デバイスが伝送できる光の開口角も小さくなります。
入力、出力スリットの幅:スリット幅が狭いほど半値幅は小さくなりますが、光出力も小さくなります。
グレーティングのライン数: 1mmあたりのライン数が増えるほど、狭い半値幅を実現します。
3. 効率とパフォーマンス
波長可変光源のモノクロメーターのスループットは主に以下の項目で決定します。
- F値
低いF値が理想的です。NA0.22の光学ファイバーと使用する場合はF2.7以下が相性が良いと言えます。 - 内部光学ミラーの反射率
コリメーションのために使用される内部の光学ミラーは選択した波長において優れたイメージング特性と高反射率を備えていることが理想的です。高性能なモノクロメーターはUV反射強化アルミニウムコーティングを施した非軸放物面ミラーを採用しています。 - 光学グレーティングの回折効率
グレーティングの回折効率は波長によって異なるため、使用する波長範囲に適したグレーティングを選択することが重要です。例えば、UV用、可視光用、近赤外用では最適なグレーティングが異なります。適切なグレーティングを選択することで、目的の波長における光利用効率を高めることができます。
高輝度光源の選択
また、モノクロメーター式波長可変光源では、グレーティングやスリットによって光量が低下するため、入力光源の輝度がシステム全体の性能に大きく影響します。そのため、高い光出力が求められる用途では、ハロゲンランプやレーザー励起白色光源などの高輝度な広帯域光源を組み合わせることが一般的です。

4. コントロール、スキャンスピード、再現性
波長可変光源の出力波長はPC/USBを介して選択されます。重要な項目として波長間の切り替えスピードが挙げられます。開始波長と終了波長の差の大きさに応じて、モノクロメータでは 10 ~ 20 ミリ秒の値を実現できます。複数回の変化を伴う波長の再現性は 0.1nm が現実的です。
5. システム統合
システムへの統合には、ファイバー結合型波長可変光源が最適です。波長可変光源を安定したな場所に設置し、単色光を光ファイバーで必要な場所に届けることができます。一般的に、波長可変光源はセンサー評価や材料評価などの自動化プロセスに統合されます。既存のソフトウェア環境へのシンプルな統合は、時間の節約に大きく貢献します。

6. 取り扱い製品のご紹介
レクトライトでは、モノクロメーター式、多色LED式など、用途に応じた波長可変光源を取り扱っています。



