UV照射器の選び方
UV照射器を選定する際は対象物へ効率良く硬化できるように、アプリケーションに適したタイプを選ぶ必要があります。
この目的を達成するためには照射器のタイプ、出力、対象物との距離などを正しく理解し選定することが大切です。
本ページでは選定の際に検討すべき単位、スペックについて解説し、UV照射器をスポット、ライン、エリアに分け、その特徴と最適なアプリケーションについて解説します。
1. 出力についての単位を理解する
実際にUV照射器を選ぶ前に選定で使用する出力に関する3つの単位を解説します。
各メーカー毎に記載している単位が異なる場合があるため、単位を同一にして、正しく比較する必要があります。
出力=mWもしくはW
UV照射器から出てくる光の総量となります。
1000mWと表記されている場合は光源の発光面からこの総量の光が出力されます。
照度=mW/cm2もしくはW/cm2
照射面積当たりに当たっている光の量を表します。
出力値(mW)が同じでも照射面積が大きいと単位面積当たりの光量(mW/cm2)は減少します。
積算光量=mJ/cm2
照度mW/cm2×照射時間(秒)で算出されます。
1000mW/cm2の照度で1秒間照射する場合の積算光量と、100mW/cm2の照射器で10秒間照射する場合の積算光量は同等となります。
2. 対象物のサイズを決定
光を照射したい面積を算出、決定します。
この面積に合わせた照射スポットを実現するUV照射器を選定することによりロスの少ない照射が可能となります。
また、対象物が小さい場合も複数個を並べて大面積で照射することも検討できます。
右の例ほど照射面積に対して対象物が占めており、光の損失が少ない状態となります。
3. UV照射器と対象物の距離を算出
光源と対象物は距離が近いほど光の損失が低減され効率的にUV照射光を活かすことができます。
つまり対象物とUV照射器の間に障害物がない場合は本ステップは検討の必要がなく、なるべく照射面積に近い発光面積をもつ
UV照射器を0距離に近い場所に設置することが最適と言えます。
逆に、距離を離して特定の場所を硬化させる場合は光が拡散してしまうため、光の出射角度を
調整するレンズが必要となります。その場合は費用が高額になる可能性があります。
2のステップで決定した照射面積に、希望する距離で照射できるUV照射器を選定する必要があります。
4. 照射する時間の制限
インラインのコンベア状などで硬化するのかもしくはオフラインの試作などで硬化するのかで光を当てられる時間が異なります。
また、使用するアプリケーションでどれくらいの時間を確保できるのか検討する必要があります。例えば試作でUV接着を行う場合は時間に制限がないので出力の低い光源でも長時間照射すれば問題ありません。UV照射器
それでは、ここまでの1〜5のステップを踏まえて、次のステップでUV照射器の出力タイプを決定します。
5. 使用するUV接着剤、UV硬化剤のスペックを確認
以下2点が選定のキーポイントとなります。
硬化波長
UV硬化はUV光に接着剤、樹脂剤に含まれる物質が反応することにより開始されます。
接着剤、樹脂剤では、主に水銀ランプ、ブラックライトなどの光源の指定、もしくは、LEDの場合はLED(365nm)といったように波長が指定されています。
例として、接着剤が365nmを指定しているにもかかわらず、385nmの光を照射して硬化を試みた場合は硬化不足や接着不足に陥る可能性があります。こういった事態に陥らないようにUV接着剤、硬化剤に適した波長を放射するUV照射器を選定する必要があります。
必要積算光量
上記の図は接着剤を完全に硬化するための光の照度×時間の値です。
必要照度に到達していない場合は硬化不足が発生する可能性があります。
6. UV照射器のタイプを選択
スポット型
メリット
- 局所的に光を当てるので照度を上げやすい
- ハンディで取り扱える小型タイプ
- 距離を離せば、エリア型としても使用可能
アプリケーション
- フットパネルを用いた作業者によるUV硬化
- 試作研究
- 複数スポットでの同時照射
φ数mmからφ数cmの面積を照射します。対象物としては数mmから数cmの電子部材やレンズなどを局所的に接着、硬化するために使用されます。
スポット型UV照射器一覧
ライン型
メリット
- 局所的に光を当てるので照度を上げやすい
- エリア型よりもLED数が少なくコストが上がりにくい
アプリケーション
- コンベア上からのUV硬化
- 細長い対象物への一括照射
光源からは線状の細い光が照射されます。これは主にベルトコンベアによって照射対象物が動いている場合及び光源自体を動かして対象物に光を当てていく際に用いられる光源となります。
エリア型
メリット
- 大面積を一括照射可能
- 対象物を動かす必要がない
アプリケーション
- 大面積のフィルムコーティング
- 大量のレンズ、電子部材などの一括照射
光源からは大面積の光が照射されます。ここでは面積としては10×10cm以上の照射面をエリア型と定義しています。主にフィルムコーティングやディスプレイなどの面積な大きな対象物や小さな部材を集め一括で照射したい場合などに用いられます。
エリア型UV照射器一覧
まとめ
以上選定ステップとなります。
適切なUV照射器を選ぶことで、硬化時間の短縮、コストの削減などにつながります。
株式会社レクトライトではスポット、ライン、エリア型の各種UV光源装置を取り扱っております。
お使いの接着剤、硬化剤、アプリケーションに合わせて選定することが可能です。お気軽にお問い合わせください。