真空紫外(VUV)とは
「真空紫外(しんくうしがい)」とは、紫外線の中でも特に波長が短い 100〜200 nm の領域を指します。
英語では Vacuum Ultraviolet(略称:VUV) と呼ばれます。
この波長域の光は空気中の酸素や水分に強く吸収されるため、
空気中ではほとんど伝播できず、真空中または窒素などの不活性ガス環境でのみ観測・利用可能です。
そのため「真空紫外」と呼ばれています。
特徴
真空紫外光は非常に高い光子エネルギーを持ち、物質の化学結合を切断したり、表面を活性化したりすることができます。
この特性により、他の光領域では得られない反応や分析が可能になります。
| 特徴 | |
|---|---|
| 波長範囲 | 約100~200nm |
| 光子エネルギー | 約6~12eV |
| 雰囲気条件 | 真空または不活性ガス中でのみ伝播 |
| 主な透過材料 | MgF2, CaF2, LiFなど |
| 特徴 | 高エネルギーで化学反応・表面分析に有効 |
主な応用分野
| 分野 | 具体的な用途 |
|---|---|
| 分光分析 | 光電子分光(UPS), 吸収分光、フォトルミネッセンス測定 |
| 半導体・材料 | レジスト露光、表面洗浄、フォトエッチング |
| 化学・表面科学 | 光分解、フォトアシスト反応、触媒活性化 |
| バイオ・生命科学 | タンパク質や核酸の構造解析、分子反応の観測 |
真空紫外光源の種類
| 光源の種類 | 主な波長 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水銀ランプ | 185nm | 安価だが出力が限定的 |
| エキシマランプ(Xe, Kr, Arなど) | 126~172nm | 高出力・均一な光、オゾン生成、表面改質用途で使用される |
| 重水素ランプ | 160~400nm | 分光分析分野で広く使用 |
VUV(真空紫外)/XUV(極紫外) 分光器/モノクロメーター
ドイツHP spectroscopy社のVUV(真空紫外)およびXUV(極紫外)の分光器は真空チャンバーへの接続に対応し、分光器およびカメラのトータルシステムとして提供可能です。
独自の入射スリットを排したNo-slitデザインに対応したモデルは広範囲の波長帯域に対応しつつ、より効率的に光を取り込みことを可能としています。





